米国の温暖化対策の目標案提出

2015年3月31日にアメリカ合衆国は、2020年以降の温暖化対策の国別目標案(約束草案)を正式に提出しました。米国の提出は、スイス、EU、ノルウェー、メキシコに続き5番目です。

米国が正式に提出した目標案(PDF)

 

米国の目標案~温室効果ガス排出量を2025年までに2005年比で26~28%削減~

米国は、気候変動枠組条約の目的「大気中の温室効果ガス濃度を、気候系への危険な人為介入を防ぐレベルで安定化させる」の達成に向けて、「2005年比で温室効果ガス排出量を2025年までに26~28%削減すること」を掲げています。なお、28%削減を達成するように最大限努力するとしています。この排出削減は国際的な貢献は算入していません。

 

目標案の公平性・野心

米国は、これまで既に温室効果ガス排出を削減するべく多くの政策を実施し、「2005年比で温室効果ガス排出量を2020年までに17%削減する」という2020年目標を達成する軌道に乗るために、必要な段階を踏んできているとのことです。2025年目標を達成するための追加的行動は、温室効果ガス排出削減のペースを現在の水準から大きく加速させることになるとしています。2025年目標を達成するには、2005年比で米国の2020年目標からさらに9~11%多くの排出削減を行い、2005~2020年の年削減ペースから年2.3~2.8%まで、約2倍のペースへと大きく加速させる必要があるとしています。

 

目標案の位置づけ

目標案の文書の中で、米国は、地球規模の気温上昇を2℃以内で維持するには地球規模で大きく排出削減を行う必要があり、米国の目標はさらなる脱炭素化への道筋と整合的であるとしています。また、この目標は、2050年までに80%以上の排出削減を行うという2020年からの直線的経路とも整合するということです。今回の目標は、できる限り早く低炭素グローバル経済へ移行させる、より長期的な国際協調の一部であるとしています。

 

米国の目標案に対するリアクション

Climate Action Tracker

「…この2025年目標を達成するには、既に計画されている政策以外に、追加的な政策が必要である。…米国の目標案は、継続的に枠組みを強化する行動を進めることを明確に示しており、その点でこの目標は達成可能であるように思われる。…ただし、衡平性という観点からすれば、米国の目標の野心は最低限の水準にとどまる。というのも、米国のこの目標を前提とした場合、2℃目標達成のためには他の諸国がより一層多くの削減とより大きな努力をしなければならないからである。」

出典:Countries-USA(March 31, 2015)

 

Greenpeace USA

「我々は米国の目標案を第一歩として歓迎するが、それは世界規模の大惨事を回避する上で決して十分とは言えない。…オバマ大統領は2025年目標を強化しなければならないが、同時に、我々に批判されるような気候政策を通じてこの目標を骨抜きにするようなことがあってはならない。」

出典:Greenpeace Reaction to US Climate Offer(March 31, 2015)

 

参考リンク

国別目標案の提出状況・一覧