温室効果ガスの排出ゼロをめざすパリ協定、11月4日に発効へ
~歴史的合意の実施に向け前進。日本は批准を急げ~
2016年10月6日
Climate Action Network Japan(CAN-Japan)
5日、欧州連合(EU)とその参加国であるドイツ(世界の温室効果ガス排出量の2.56%)とフランス(同1.34%)を始めとする11ヶ国・地域は、世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることをめざすパリ協定に批准した。今月2日にはインド(同4.1%)、4日にはニュージーランド(同0.22%)がパリ協定に正式に批准している。5日をもって、パリ協定はその発効要件*を満たし、2016年11月4日に発効することになった。このため、11月7日から始まる国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)では、これと併せてパリ協定第1回締約国会合(CMA1)が開催されることになった。
パリ協定の発効が早期に実現したことは、国際社会が重要なシグナルを発信したことを意味する。第1に、世界各地で頻発する気候災害及びその被害を最小化することと、脆弱な途上国の人々を救うことが国際社会の緊急の最重要課題になっているということである。第2に、地球平均気温上昇1.5~2°C未満の世界に向け、化石燃料の時代をより早く終わらせる国際社会の決意を示した。パリ協定の早期発効は、世界の経済・社会に対し、排出ゼロに向けて、石炭火力発電所のような高炭素なインフラをこれ以上増やさずむしろ減らしていくこと、自然エネルギー100%に早期に転換することを促している。第3に、前倒しで対策を強化する必要があるという国際社会の共通認識がさらに深まった。パリ協定のもとで世界各国が掲げている温室効果ガス排出削減目標では、1.5~2°C未満の目標の達成には不十分であることがわかっている。「実質排出ゼロ」の実現に向けて、各国の対策を5年毎に見直し、永続的に強化し続けるパリ協定の早期発効は、各国が目標を早期に見直し、大幅に強化することを促すものである。米国、中国、インド、EUなど、世界の総排出量の約60%を占める74の国・地域は、パリ協定に早期批准したことで、これらのシグナルを発信し、歴史的なパリ協定を法的効力のある枠組みにすることに貢献した。
一方、日本は、パリ協定への批准が他の主要国より大幅に遅れ、発効要件の達成に間に合わなかった。気候変動を最優先課題におき、いち早く締結した米中やこれに続いて政治決断を急いだ各国と、気候変動の優先順位が低く、国際潮流に乗れなかった日本との間に深刻なギャップがあることがその背景にある。もし11月4日までに批准できなければ、パリ協定の発効時点の締約国に名を連ねることができず、国際社会における存在感や信頼に大きな傷がつく。
世界第5位の排出国である日本(排出割合3.79%)は、その責任を果たすため、国際社会の連帯を示すため、国際社会での存在感を少しでも回復するために、可能な限り早期に、遅くとも11月4日までに、批准を完了させる必要がある。
*パリ協定は、世界の温室効果ガス排出量の55%以上を占める55ヶ国以上が締結(批准・受諾・承認)してから30日後に発効(法的に効力を生ずる)する。
以上
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温室効果ガスの排出ゼロをめざすパリ協定、11月4日に発効へ~歴史的合意の実施に向け前進。日本は批准を急げ~(CAN-Japan・2016年10月6日)
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