
撮影:Climate Action Network
プレスリリース
日本がCOP30で「本日の化石賞」を受賞
2025年11月13日 ブラジル、ベレン
Climate Action Network Japan
11月13日(現地時間)、ブラジルのベレンで開催されている第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)にて、日本が「本日の化石賞」を受賞した。化石燃料からの脱却が進まない現状に世界の市民社会から批判が寄せられた。具体的には、水素、アンモニア混焼、CCS(二酸化炭素貯留・回収)といった技術の推進が化石燃料の促進につながること、オーストラリアのガス田開発プロジェクトへの巨額の投資で先住民の住む土地や水、文化に悪影響を与えていること、COPでの「公正な移行」の交渉において、公平性や地域社会の声を反映する制度的枠組みを取り入れることに反対する姿勢が受賞理由となった。
「本日の化石賞」は、気候変動交渉・対策の足を引っ張った国に毎日贈られるもので、その国に対する批判と改善への期待の意味が込められている。化石賞を主催するClimate Action Network(CAN:気候行動ネットワーク)は、130カ国の1800以上の団体からなる世界最大の気候変動NGOネットワークであり、世界各地で活動するNGOが受賞者を決定する。
日本の受賞理由についてのClimate Action Networkのプレスリリース日本語訳
本日の化石賞:日本
破壊を伴う資金提供、気候正義の妨害、偽りの希望の売り込みに対して
COP30、ベレンにて—本日の化石賞は日本に授与される。気候正義に対する三つの反則行為が理由だ。COP30が真実を伝えるためにこれほど苦闘しなければならない、問題の核心に切り込む三つの理由は以下のとおりである:
1. 化石燃料の延命を推進
ピカピカとしたパビリオンの中で、日本は二酸化炭素回収・貯留(CCS)、水素、アンモニア混焼を「解決策」と称して推進している。これらは気候変動問題の解決策ではなく、問題を隠してしまう煙幕だ。化石燃料を延命する技術的対応策であって、終焉をもたらすものではない。
2. 先住民の権利侵害
日本はオーストラリアでのスカボロからバラップハブに至る巨大ガスプロジェクトに資金を提供し、土地、水、文化を脅かしている。自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)の欠如により、先住民コミュニティは沈黙を強いられた。また、ピラミッドの建造より以前に描かれた岩絵が排出ガスで侵食され、文化的破壊が起きている。さらに日本はガスを過剰契約し、アジア全域で転売している。これにより再生可能エネルギーが置き換えられ、地域全体のコミュニティが求める公正な移行が妨害されるという、輸出植民地主義が作り上げられている。
2008年以降、日本と韓国はオーストラリアのガス産業に205億米ドルを投入している。日本の輸出信用機関だけでその64%を支援しており、気候変動の混乱を助長している。
3. 公正な移行の妨害
日本は国連気候変動枠組条約(UNFCCC)下で、正義・公平性・人民中心の公正な移行計画を組み込む努力に抵抗し続けている。COP30では移行における正義の確立を阻み、「2026年まで何もしない」選択肢を支持し、公平性や地域社会の声を反映する制度的枠組みを取り入れる事に反対している。UNFCCCで公正な移行が議論されることに対する後ろ向きな姿勢を隠そうともしていない。
つまり、日本は先住民の権利を侵害し、交渉における正義を阻み、化石燃料の延命策を「解決策」として売り込んでいる。
だからこそ日本は本日の「化石賞」を受賞するにふさわしい。
化石燃料に依存していることが明らかであるからだ。
CANについて
Climate Action Network(気候行動ネットワーク、CAN)は130カ国・1800を超える環境NGOの世界的なネットワークです。人間活動が起こした気候変動を、生態学的見地から持続可能なレベルまで抑制するために政府や個人の行動に働きかけています。https://climatenetwork.org/
本日の化石賞について
「本日の化石賞」はドイツのNGOフォーラムによって、1999年にボンで開催された気候変動交渉の場で初めて発表されました。国連気候変動枠組条約締約国会議(www.unfccc.int)などにおいて、CANのメンバーが、交渉の進展やパリ協定の実施を妨げるために「最善」を尽くしたと判断された国に投票します。
宝石賞について
CANは国連気候変動枠組条約締約国会議などの交渉において希望の光となる国々に「宝石賞」を授与しています。
以上
お問い合せ先
Climate Action Network Japan(CAN-Japan)事務局
〒604-8124京都府京都市中京区帯屋町574番地高倉ビル305気候ネットワーク内
TEL: 075-254-1011/FAX: 075-254-1012
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