プレスリリース
国連総会が気候変動における歴史的な決議を採択—ICJ勧告的意見を賛成多数で支持したことを歓迎する
2026年5月21日
Climate Action Network Japan(CAN-Japan)
2026年5月20日(現地時間)、国連総会は国際司法裁判所(ICJ)による気候変動に関する国家の義務についての勧告的意見を支持する決議を、賛成多数で採択しました。Climate Action Network Japan(CAN-Japan)は、気候変動対策を国家の義務とした勧告的意見を多くの国が支持したことを心から歓迎します。
ICJの勧告的意見は、気候変動による海面上昇によって存亡の危機にある南太平洋の国々の若者が声を上げ、その声に応えたバヌアツ政府が、気候変動における国家の義務について、世界で最も権威ある国際司法の判断を仰ぐことを国際社会に提案したことに始まります。2023年の国連総会では、日本を含む132カ国が共同提案国となり、ICJに勧告的意見の発出を要請しました。これを受けたICJは、岩澤雄司所長のもとで気候変動に関する国家の法的義務を明示する画期的な勧告的意見をまとめ、2025年7月に発表しました。
現在、世界は地球沸騰化ともいわれる深刻な気候危機に直面し、パリ協定の「1.5℃目標」の実現が危ぶまれ、オーバーシュートは避けられないと予想されています。 世界が協力して気候変動対策を強化、加速させることが、今ほど求められている時はありません。
CAN-Japan は日本政府に対し、この決議案へ賛成票を投じるよう要請しました。日本政府が市民社会の声を真摯に聞き入れ、賛成票を投じたことを高く評価し歓迎の意を表します。
アメリカなどが反対したにもかかわらず、国連総会において賛成多数で議決されたのは、各国政府が勧告的意見を具体的な行動に移す意思を示したことに他なりません。
しかし、この議決はゴールではありません。ICJが国際法上の義務として明らかにした内容を、実際に具体的な行動へと移していくことが求められます。日本政府には、勧告的意見により明らかにされたその責任を全うし、速やかに国内の脱炭素化を推進し、国際協調をいっそう強化していくことを期待します。
以上
CAN-Japanメンバー団体からのコメント
伊与田昌慶(国際環境NGO 350.org ジャパン・キャンペーナー):
「気候正義を求める市民と、それに応えようとする司法と政治の努力が結実しました。日本政府がこの決議案に賛成したことに安堵しています。ところが、日本政府は、化石燃料依存によるエネルギー危機が顕在化する中ですら、化石燃料利用を維持するための政府予算の配分、容量市場など事実上の化石燃料支援、非効率石炭火力発電の活用など、ICJ勧告的意見とは真逆の対応を取っています。勧告的意見の精神を、日本国内でこそ実体に変えなければなりません」
浅岡美恵(気候ネットワーク代表):
「国際司法裁判所の勧告的意見が国連総会において承認されたことは、気候危機に直面する国際社会にとって、今後の気候変動対策の礎となるものです。1.5℃目標の達成に向け、より効果的な対策を早期に実践していかなければなりません。日本はここを転換点とし、気候システム、そして人権を守るため、勧告的意見に則した排出削減対策の強化に真摯に取り組んでいく必要があります」
吉川景喬(WWFジャパン 自然保護室 気候・エネルギーグループ):
「2025年7月にICJが示した画期的な勧告的意見に続いて、その実行を各国に求める決議の採択を通じて、人々の暮らしと自然環境を守るために、気候変動対策をさらに加速させる意思を国際社会は強く示しました。各国は具体的な政策に反映すべきであり、日本も例外ではありません。温室効果ガス排出削減目標を科学的知見に沿って、2035年までに2013年比で最低限66%以上の削減に引き上げつつ、省エネ・再エネのいっそうの実装やGX-ETSの改善といった政策の強化が必要です」
吉田明子(国際環境NGO FoE Japan 気候変動・エネルギー担当):
「日本がカーボンニュートラルのために進めているのは『大規模脱炭素電源』の維持・推進です。費用も時間も環境負荷もかかり、必要な『今すぐ』にまったく間に合いません。その間化石燃料の利用を継続し、温室効果ガスを出し続けるのです。
このままでは『気候変動対策という国家の義務』不履行となるでしょう。一刻も早い、省エネ・再エネへの転換が必要です 」
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