国連気候変動ボン会議にて「2030年目標の早期検討開始のお願い」を日本政府に提出

2014年6月5日

 6月4日より、ドイツのボンにて、国連気候変動ボン会議(補助機関会合とダーバン・プラットフォーム特別作業部会)が開催されています。この会場にて、Climate Action Network Japan(CAN-Japan)は、北川環境副大臣と日本政府代表団に下記の要望書を提出しました。

 


 

要望書「2030年目標の早期検討開始のお願い」

 

環境副大臣 北川 知克 殿

日本政府代表団各位

2030年目標の早期検討開始のお願い

気候変動問題に対する、日頃の御努力に対し、心から敬意を表します。

私たち、Climate Action Network Japan (CAN-Japan) 参加団体は、気候変動問題に関して活動する日本の市民団体(環境NGO)です。CAN-Japan を含むClimate Action Network (CAN) は、世界90か国以上で活動する約850の団体から構成される国際ネットワークで、国連気候変動枠組条約のプロセスには、その始まりから深くかかわってきました。

去る4月に、IPCC第5次評価報告書が第1から第3作業部会まで出そろい、気候変動の危機と国際社会が一致しての対策の必要性が、改めて認識されたところです。日本の横浜で開催された第2作業部会総会では、石原環境大臣も、日本が国際社会でリードしていく意思を改めて表明されました。

そのような中、目下のダーバン・プラットフォーム特別作業部会における交渉でも明らかなように、各国は、昨年合意されたワルシャワ合意(COP19決定)に基づき、2015年3月での国別目標案の提示を目指して準備しているところです。次期国際枠組みは2020年以降を対象とすることから、おそらく多くの国は、2030年を目途とした目標案を準備してくると考えられます。

しかるに我が国では、目標の検討自体が始められていません。この状態を憂え、私どもCAN-Japan は、以下の3つの事項につきまして、要望申し上げる次第です。

1)2030年目標を議論する公式の場の早期設置

2030年へ向けての目標の策定には、国民全体の合意が必要であり、そのためにはそれなりの時間が必要とされます。仮に今すぐ開始をしたとしても、その期間は1年もありません。エネルギー基本計画の議論にも多くの時間がかかったことを踏まえると、日本としての気候変動目標の議論にもそれなりの時間が必要とされることが予想されます。過去の麻生政権時の事例では、6か月間で2020年の中期目標を定めたこともありますが、それは、その過程が十分であったことを意味するものではありません。結論について様々な意見が出ることが予想されますが、この2030年に向けた日本の気候変動目標が、国民の中で熟議が必要な議題であることには異論はないはずです。早急に公式な議論の場を、日本政府全体として設立することをお願い申し上げます。

2)野心的かつ衡平な目標策定を目指すこと

日本が掲げる2030年目標は、国際的な2℃未満目標に着実に貢献するものであるという意味において野心的である必要があります。また、これまで気候変動問題を引き起こしてきた先進国の一員としての責任を果たしつつ、気候変動に脆弱な国々の被害を最小限に抑えるに足るという意味において、衡平性に配慮したものでなければなりません。そのような「野心的」かつ「衡平な」目標の設定を目指すことをお願い申し上げます。

3)議論の過程に市民社会の代表が参加し、広く国民の意見を聴く機会を設けること

2030年目標は、言うまでもなく国民全体の合意でなければなりません。そのためには、有識者や産業界の声だけでなく、市民社会および国民全体の声を聴く機会があるべきと考えます。具体的には、2030年に向けた日本の気候変動目標を公式に議論する場に市民の代表が参加できるようにすること、議論の過程をあらかじめ告知・周知し、かつ、広く国民の意見を聞いた後にさらに、その意見を反映させるプロセスと時間を確保することが必要だと考えます。2030年目標議論のスケジュールを明示し、市民社会および国民からの意見を聞く期間をあらかじめ設定することをお願い申し上げます。

以上、何卒ご検討お願い申し上げます。

2014年6月5日

Climate Action Network Japan (CAN-Japan) 参加団体
FoE Japan / Office Ecologist / 気候ネットワーク
グリーンピース・ジャパン  / オックスファム・ジャパン
コンサベーション・インターナショナル(CI) ジャパン
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA) / WWFジャパン