日本政府は、2030年に向けた新しい地球温暖化対策計画(案)を発表し、2016年4月13日まで国民意見を募集していました。CAN-Japanメンバー団体が提出した意見を紹介します(これらの意見は個別団体の意見であり、CAN-Japan全体のポジションではありません)。

 

気候ネットワーク

主な意見(抜粋)

  1. 長期的な排出削減目標「1990年比で2050年までに”少なくとも”80%削減」を掲げるべき
  2. 中期目標は、1990年比で2030年までに少なくとも40~50%削減という水準に変更した上で国連に再提出すべき
  3. 原発・石炭重視ではなく、省エネ・再エネ重視のエネルギーミックスを基礎とした温暖化対策にすべき
  4. 原発を温暖化対策に位置づけることはやめるべき
  5. 排出削減を促すため、地球温暖化対策税の抜本強化を進める方向で検討すべき
  6. キャップ・アンド・トレード型排出量取引制度の早期導入に向けて検討を速やかに進めるべき

「地球温暖化対策計画(案)」に対する気候ネットワーク意見はこちら(PDF)

 

地球環境市民会議(CASA)

主な意見(抜粋)

「地球温暖化対策計画(案)」(以下、「計画案」という)は、AR5の警告に真摯に向き合おうとせず、合意されたパリ協定に逆行するものと言わざるを得ない。「計画案」を、パリ協定の目的・目標に沿った内容にすべきである。

IPCC第5次評価報告書(AR5)は、平均気温の上昇が工業化以前から2℃を超えると様々 なリスクが上昇するとし、2℃未満に抑制するためには、温室効果ガス排出量を2050年に40~70%、2100年にゼロ乃至マイナスにする必要があるとした。昨年の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で合意されたパリ協定は、平均気温の上昇を2℃を十分に下回るレベルに維持することを協定の目的とし、今世紀後半に人為的な排出量と吸収量をバランスさせる(温室効果ガスの排出実質ゼロ)ことに合意した。 温室効果ガスの排出を実質ゼロにするためには、今世紀後半には化石燃料をエネルギ ー源として使用できないことを意味しており、そのためには、徹底した省エネとエネルギー源を100%再生可能エネルギーに転換するしかない。 この「計画案」は、AR5の警告に真摯に向き合おうとせず、合意されたパリ協定の目的・目標に逆行するものと言わざるを得ない。

「地球温暖化対策計画(案)」に対するCASAの意見はこちら(PDF)

 

WWFジャパン

主な意見(抜粋)

  • パリ協定の「2度/1.5度」目標への貢献を明記すること
  • 長期目標(2050年80%削減)の明記を維持すること
  • パリ協定に準じて、削減目標の定期的な改善見直しを行なっていくこと
  • 革新的技術開発のみに依存した対策でなく、既存の優良技術の波及も重視すること
  • 企業の取組みとしての「低炭素社会実行計画」の透明性・実効性の改善の観点から、長期的視点に基づきライフサイクルにわたる削減対策の策定・実施を進めていくこと
  • 石炭火発の新設・増設を禁止し、既存施設も段階的に廃止する政策を進めること
  • 排出量取引制度の導入に向けた積極的な検討を行なうこと
  • 金融機関や機関投資家の投資対象における、排出量情報の開示を促していくこと

「地球温暖化対策計画(案)」に対するWWFジャパン意見はこちら

 

国際環境NGO FoE Japan

主な意見(抜粋)

  1. パリ協定で合意された目的「世界の気温上昇を今世紀末に2℃未満、さらに1.5℃に押さえる」を前面に打ち出し、実現するための2030年中期目標とすべき
  2. 2018年の国連のレビューののち、国内目標を強化することに触れるべき
  3. 「2050年には少なくとも80%削減(1990年比)」を明記した長期計画を、提出期限の2020年より前に早急に策定することに言及するべき
  4. 原発は気候変動対策として使うべきではない(2014年の温室効果ガス排出量は、原発ゼロで減少に転じている)
  5. 産業界、電力業界について、自主的な取り組みに任せるのみでは不十分、特に電力業界の石炭火力発電の新増設はやめるべき

「地球温暖化対策計画(案)」に対するFoE Japan意見はこちら(PDF)

 

自然エネルギー財団

主な意見(抜粋)

  • 日本政府の「2013 年比26%削減」は省エネや自然エネルギー導入の可能性を過小評価した上で決定されており、2019 年の目標再提出に向けて、パリ協定の合意を受けた新たな目標検討を開始することを明記すべきである。
  • 日本の設備投資を考えるとこの先10年が勝負であり、2030 年までの大幅な削減は「イノベーション」や「革新的技術」でなく、今ある自然エネルギーや省エネ技術をどう活用できるかにかかっている。既にあるこれらの技術を最大限に活用することに重点をおくべきである。
  • 日本の中期目標を見直すためにも、2030 年に向けたエネルギーミックスを再検討し、二酸化炭素排出量が高い石炭や危険性の高い原子力への偏重を改め、省エネや自然エネルギー導入を検討すべきである。

「地球温暖化対策計画(案)」に対する自然エネルギー財団意見はこちら(PDF)

 

環境エネルギー政策研究所(ISEP)

主な意見(抜粋)

自然エネルギー先進国のみならず途上国を含めて、世界各国はこれまでの化石燃料に依存した社会を根本的に転換するため自然エネルギーを主役にして、この困難な気候変動問題に立ち向かおうとしている。日本は、いまこそ立ち遅れたエネルギー政策を見直し、自然エネルギー100%の「持続可能なエネルギー」への転換の先頭に立ち、この世界規模の気候変動問題の解決に向けて進むべきである。

「地球温暖化対策計画(案)」に対するISEP意見はこちら(PDF)

 


 

それぞれの意見の詳細につきましては、各団体へ直接お問い合わせください。