こちらのページの内容は個別団体のものであり、CAN-Japan 全体としての見解ではありません。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は本日、政府がエネルギー基本計画の素案を示したことを受け、以下の声明を発表しました。

グリーンピース・ジャパン プログラム部長、高田久代

「世界各地で激しい熱波や干ばつ、豪雨、氷床の融解などが相次ぐ中、エネルギー基本計画改定は、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ(ネット・ゼロ)を達成するという政府の意欲をはかる極めて重要なポイントです。しかし、今回示された政府の原案は、気候変動による壊滅的な影響を回避するため、産業革命以降の地球の平均気温上昇を1.5度までに抑えるという目標には到底足りないものであり、失望しています。

再生可能エネルギーの比率が36〜38%程度にとどめる一方、化石燃料の廃止を約束しない日本は、気候危機に取り組むための国際協力を進める上での障害となっています。日本は2030年までに国内のすべての石炭火力発電所を廃止し、石炭火力発電技術の輸出を含む国内外の石炭火力事業への公的融資をすべて停止しなければなりません。

さらに、日本は、原子力産業を支援することで、世界に誤ったシグナルを送ることをやめなければなりません。原子力発電の比率を20~22%に維持することは、多数の古い危険な原子炉の再稼働と、新しい原子炉の建設なしには実現不可能です。しかし、原子力発電には、安全管理の問題や核廃棄物の最終処分などの問題があります。

過去10年間、日本は、自然エネルギーのポテンシャル向上、省エネルギーとエネルギー効率化のためのエネルギー政策見直しを怠り、脱炭素経済を進める機会を逸してきました。自然エネルギーへの移行を阻む技術的・経済的な障壁は、世界各地で克服されています。日本でのこうした変化を阻んでいる唯一の要因は政治的なものです。

日本のエネルギー計画は、実現可能性やコスト、気候変動への効果が不確かな、実績のない技術に頼りすぎています。政府は、エネルギー効率化計画に投資し、持続可能な自然エネルギーを2030年までに少なくとも50%導入し、原子力や化石燃料への補助を廃止し、温室効果ガス排出量削減に役立たない未検証技術の開発に注力するのをやめなければなりません」

以上

 

参照元

原子力発電維持、自然エネ導入は不十分ーー政府のエネルギー基本計画素案では気候危機は回避できず